「帰ってください!何であんたがここにいるんすか!」
「シュンに連絡もらったんだよ」
「シュン。てめー」
「だ、だって、兄ちゃん、泣いてたから・・」
「泣いてねーよ。いらねえことすんな!」
(泣いてたよー。兄ちゃんってどうしてこんなに素直じゃないのかなあ・・)
「アニキ思いのいい弟じゃねえか。なあシュン」
「シュンを勝手に手なずけないでください!とにかく帰れ!」
「あー、帰るよ。お前も一緒にな」
「イヤです。あんた一人で帰って下さい」
「だいたいなんで、そんな怒ってんだよ」
「あんたが、ヘンなことばっかさせようとするからじゃないすか!」
「なんだよヘンなことって。今日はそんなことしてねーだろ」
(「今日は」なのかー)
「・・・パ、パジャマ着ろって」
「んだよ。パジャマ着ろっつーのがどこがヘンなんだよ」
「二人で一つってのがヘンなんだよ!変態オヤジ!」
(二人で一つ??二人羽織???)
「ばーか。そんなん、新婚のジョーシキだろ」
(へー、そっか常識なんだ。覚えとこうっと)
「そんな常識きいたことねーよ。つーかあんたに常識説かれるのすげーイヤなんすけど」
「タカヤにはこの手の知識が欠けてっかんなー」
(うんうん。兄ちゃん、野球バカだし)
「だいたい、なんであんたがズボンなんすか!」
「そりゃふつー嫁がシャツだろーが」
(そっか。上下一枚ずつ着るんだ。すっげー!でもそりゃ、兄ちゃん恥ずかしがるよなあ)
「そんなことしたら、あんたの肩が冷えるだろ!」
(そっちかよ!兄ちゃんってとことんキャッチだ・・)
「あーそっか」
「なんなんすか。その顔。キモい笑い方しないでください」
「タカヤは俺の体を気遣ってくれてたんだなー」
「違います!」
「タカヤはやっぱりいい嫁だなー」
「だから違うっつってんだろ!人の話聞けよ!」
「じゃ、そーいうことならオレがシャツ着るから、そんでいいだろ」
「・・・・・・・」
「な、いーだろ」
「・・・・・・・」
「タカヤ」
「・・・・・・・まあ、それならいいです」
(えええええええ!?兄ちゃん、それでいいの!?)
「うし。じゃあ帰るぞ。おお、シュン。じゃーまたな!」
(・・・なんか、なんか、僕、兄ちゃんがわからなくなってきちゃったよ、おかーさん)
<蛇足>シュンちゃんはこのあとおかーさんにすべて報告します。阿部母大激怒。(末っ子はなんでも母親に喋る)